こころとからだの建築家BLOG

住まいの統合医療で50兆円にせまる医療介護費を半減させる!!
<< May 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 富士登山で考える 〜日本人の心のよりどころとしての富士山 | main | 続・脱エネ 団塊世代の農村移住 〜もの作りの根源としての自給自足 >>

「省エネ」から「脱エネ」へ 〜快適性という慣習が身体を退化させる

0
     エネルギーが枯渇する時代はそう遠い話ではない。ライフラインが止まった時点で現代都市は完全にその機能を停止してしまい、依存度が高ければ高いほど非常時に受けるダメージも大きい。現在のような中途半端なキャッチフレーズに終始する「省エネ」を通り越し「脱エネ」の時代は確実にやってくる。代替エネルギーを賢明に探しているが、バイオエタノールにしても結局は食糧事情を圧迫し解決にはなっていない。効率的ながら危険が伴う二酸化炭素を出さないエネルギー生産が可能な原子力発電の正当化も、現在のエネルギー利用を前提としており、今の生活を変えるという発想はそこにはない。国の政策としても、現在の生活レベルを落とすようなことは自身の政治生命をなくしかねない。よってアメリカのように30年ぶりに原子力発電を再開するような決定が下される。こうした事態も結局は我々の見識が反映されていることを忘れてはならない。

     ちなみに日本の電力事情からいえば、電力会社が積極的に売り込んでいるエコキュートなどの商品も、原子力発電による電気を売るために作られたとも言われている。原子力発電は一度動き始めると止めることは難しい。電力消費が落ち込む夜間でも動き続けなくてはならないのだが、電力は貯めておくことが難しい。この余った夜間の電力を使わせるためにエコキュートは開発され、売りこみのキャッチフレーズは30%の省エネ効率が期待できるという消費者のメリットが強調されるが、実はそうした電力会社側のメリットが裏には隠されているという。

     さらには人口減少に悩む先進国をよそに、地球の人口自体は増え続けている。このままの推移でいけば2050年には120億人になるといわれ、地球上の人口の適切な量と言われている約30億人の4倍となる。食料も人間から見ればエネルギー資源だ。現在ですら世界の4分の1の人々は明日の食糧を確保出来ないで生活をしているという。(*引用元)さらに穀物中心の生活から食肉生活に変わったことにより、日本人の体格はよくなったが、生活習慣病なども増加し、さらには穀物消費も格段に上昇している。牛や豚の肉を生産するためには肉1kgあたり6〜7倍の穀物が必要だという(*引用元)こうした現状に楽観的にはいられない。我々の生きている間は何とかなるかもしれない。しかし、それでいいのだろうか?自分のものではない未来に無責任になることは私にはできない。

     些細なことだが今年も全く冷房を使わずに夏が終わろうとしている。

     人間は太古の昔からいくつもの氷河期を乗り越えてきている。寒さにも暑さにも耐えられないほど弱くはできていない。実際に50年前はエアコンなどなかったのだ。もともと人間が持っている体温調節機能を空調によって肩代わりしてしまうと、汗腺が退化し体温調節ができなくなり、機能しなくなってしまう。汗腺の温度調節は5℃が限界であり、35℃近い屋外から30℃の室内に入るだけでも汗腺にとっては調節可能なぎりぎりの温度差なのだ。そもそも夏場の空調設定温度28℃、冬場は20℃というのも、外気温が一定ではないのに、内部は一定にしようと考えるのが不自然なのかもしれない。単純に気温だけの対応能力を考えれば「夏の設定温度=外気温−5℃」「冬の設定温度=外気温+5℃」として、あとは服装で調節するのが理想的ではないだろうか。ちなみに二酸化炭素の削減量から見ると
    冷暖房兼用エアコン1台あたりでは、暖房の設定温度を下げるほうが、冷房の設定温度をあげるよりも数倍の削減効果があるといえます。*引用元

     通常、人が汗をかくときは「全身汗」(全身で汗をかく)なのだが、空調によって気温が調節された環境では体温調節のために汗をかかずに汗腺が退化してしまい、「部分汗」(汗をかく部分とかかない部分ができてしまう)になってしまう。さらに汗腺には再吸収機能があり、身体に必要なミネラル分などを血液に戻す機能があるのだが、「部分汗」の人は汗腺が退化してしまっているので、ミネラル分 アンモニア分などを再吸収できずに汗と共に出してしまう。そしてこれは体臭の元になってしまうと共に、体温調節がしにくくなれば夏ばてしやすい体質となってしまう。夏場の体臭も夏ばても、これも過度のエアコン利用による身体の適応能力の退化が原因のひとつなのだ。

     私は現在、自宅で仕事をしているのだが、エアコンなしの生活をしていても全く夏ばてすることはない。かえってエアコンが効いたオフィスで仕事をしていたときの方が夏ばてをしていた。涼しい甚兵衛を着て水分をこまめに補給し、タオル片手に汗をかきながらの生活も慣れてしまえばまったく問題ないが、この状態を知らずにうちに遊びに来た友達は「涼しくなってからまた来る」と言って帰っていった(笑)もちろん、エアコンなしでの生活にクールビズをはじめとする涼しい服装、季節の食べ物の摂取・水分調節、日差しの遮断、風通し、打ち水など衣食住の調節が必要なことは言うまでもない。例えば洗濯物をバルコニーに干すだけでも洗濯物の水分が気化することによって気温が下がる。自然に逆らうのではなく、自然に身を任せて生活する。これは地域に根ざした昔ながらの知恵だったはずだ。

     実は着物もこうした昔ながらの知恵をうまく使っている。着物は上半身の汗をかきにくい衣服である。実際、着物を着ているうちは上半身にあまり汗をかかないというが、帯を取り、着物を脱ぐとどっと上半身の汗がでるという。帯の位置に汗を抑えるツボがあるとも言われるが、科学的には“皮膚圧反射”と呼ばれる効果で説明される。これは体の一部が圧迫されると、その部分の汗が蒸発しにくくなるので発汗量が減り、体全体のバランスを取るためにその他の場所で多く汗をかくようになるというものだ。これは“部分汗”とは違い、汗腺は退化していない。着物は帯で脇を締め付けることにより、上半身の発汗を抑える。その分バランスを取って下半身の発汗が増えるのだが、下半身は上半身よりも開放されているので発汗には適している。舞妓さんが真夏に着物を着ていても白粉が落ちることなくいられるのもこの“皮膚圧反射”による効果が大きい。形態は違うが、もしかしたらブラジャーがこれだけ一般的になってきたのも胸の整形ともにこの“皮膚圧反射”を見込んで化粧を汗により落とさないために発展してきたのかもしれない。

     まったく冷房を使わないといったが、例外もある。仕事で営業の人が来てくれるときは、暑ければ少し冷房をつけて待っている。さもなければ二度と来てくれないかもしれないかもしれない(笑)そう考えると客商売の百貨店やレストランの気持ちもよくわかる。国の政策が国民にリップサービス的なのも同様だ。しかしこれを変えていくためには、我々が意識を変えなくてはいけない。お店に入って「あ〜涼しい涼しい」などといっているうちはまだまだ修行がたりないと反省してしまう残暑である。
                            (追記07.09.03)
    CULTURE | permalink | comments(6) | - | -

    この記事に対するコメント

    今年は環境保護活動をしているNGOに関わったことで、
    かなりエネルギー利用について勉強しました。
    原発について、自然エネルギーについて。
    興味があるのは燃料電池、エコキュートではなく、エコウィル…。

    私も職場でも家でもほとんどエアコン無しで乗り切りました。
    確かにつけない方が体調良くなるよね。

    ところで、女性の生理用品に使い捨てでない布製のが
    急速に広まっているの、知ってますか?
    生理痛が楽になるという話も事実のようです。
    膨大な吸収力とか必要ないんだよね、ほんとは。
    自然なものを体が求めてることを、頭でも理解し始めたのかなあと思います。

    いかに不自然な生活をしているのかを、そんなことから
    一つ一つ実感している今日このごろです。

    なんだか同感する部分が多かったので思わず長いコメント失礼しました。。。
    akiko | 2007/09/12 11:53 PM
    下記を追記しました。

     実は着物もこうした昔ながらの知恵をうまく使っている。着物は上半身の汗をかきにくい衣服である。実際、着物を着ているうちは上半身にあまり汗をかかないというが、帯を取り、着物を脱ぐとどっと上半身の汗がでるという。帯の位置に汗を抑えるツボがあるとも言われるが、科学的には“皮膚圧反射”と呼ばれる効果で説明される。これは体の一部が圧迫されると、その部分の汗が蒸発しにくくなるので発汗量が減り、体全体のバランスを取るためにその他の場所で多く汗をかくようになるというものだ。これは“部分汗”とは違い、汗腺は退化していない。着物は帯で脇を締め付けることにより、上半身の発汗を抑える。その分バランスを取って下半身の発汗が増えるのだが、下半身は上半身よりも開放されているので発汗には適している。舞妓さんが真夏に着物を着ていても白粉が落ちることなくいられるのもこの“皮膚圧反射”による効果が大きい。形態は違うが、もしかしたらブラジャーがこれだけ一般的になってきたのも胸の整形ともにこの“皮膚圧反射”を見込んで化粧を汗により落とさないために発展してきたのかもしれない。
    管理人 | 2007/09/03 1:14 PM
    汗をかかずに汗腺が退化してしまい、「部分汗」(汗をかく部分とかかない部分ができてしまう、そして体温調節がしにくい 

    ↑この部分、私のことです。退化してたんですね・・・。

    子どものころから体温調節がしにくくて、熱射病になってました。
    のりりん♪ | 2007/09/02 11:11 PM
    空調業界だったとは知りませんでした(^^)
    50年前にはすでにあったのですね。
    街を覆い尽くすアスファルトも熱をため込んでしまいますよね。
    建築家としての役割として熱に対する新しい素材の検討も必要ですね。勉強になります。
    管理人 | 2007/09/02 3:48 AM
    今年の酷暑、よく乗り切れましたね〜
    ホントにすごい。。。

    省エネ、いや脱エネが必要なのは、あたまでは理解しているんですよね、、

    でも、私はあまり実行できなかったなぁ、、、
    Leimomi | 2007/09/02 12:08 AM
    こんばんわ。空調業界に身を置いている者として興味深くまた耳を痛くしながら読ませて頂きました。
    ルームエアコンそのものは既に54年前にはあったのですが、普及はR22と呼ばれる冷媒が49年前に完成し、エアコンが小型化したことで一気に普及していったんですね。
    急激な温暖化は二酸化炭素もありますが、高層建造物が昔と比較し多くなった為、見かけ上の地表表面積の増加や建物そのものが熱を蓄えるようになったことも大きいのでしょうね。
    あかねこ | 2007/09/01 9:04 PM
    コメントする