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IKEA(イケア)ついに日本上陸!!part3 −文化の違いからみるインテリア

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     商品を見て回っているうちに、日本とスウェーデン(海外)におけるいくつかの文化の違いに気が付いた。

      ■ 壁面にネジで固定する家具が多い
      ■ セルフ塗装を前提とした無塗装家具がある
      ■ カウンターなどの高さが高い
      ■ 家具のシリーズ化、パーツの規格化
      ■ 肩肘をはらない楽しみ方



    ■ 壁面にネジで固定する家具
     基本的に日本の賃貸住宅では壁には穴を空けないというのが、暗黙の了解のようになっている。それゆえ、最近の賃貸住宅ではハンガーレールを取り付けたりして対処しているが、古い賃貸ではそうしたものはないに等しい。こうした現状では、賃貸住宅で壁にねじ込む家具は欲しくてもなかなか使いにくいのが現状だ。それゆえ日本では吸盤式や両面テープ式のものが多いのだが、IKEAには全くなかった。IKEAは全世界ほぼ共通の商品群を販売しているので、日本に特化した商品企画はしていないだろう。こうした中で文化の違いがどう出るか興味深い。
    ■ 壁掛け式の家具

     私の借りているマンションは築30年以上経っており、管理会社からもこわごわ住むことはないと言われているので、壁にも結構穴を空けている。どうせ5年も住めば壁紙も貼り替えるのだし、多少ならパテで埋めておけばいいので、あまり気にせずやろうと思っているが、穴を空けにくい賃貸住宅の現状では壁掛け式家具は持ち家の人のみのものとなり、あまり延びないだろう。


    ■  セルフ塗装を前提とした無塗装家具

     もうひとつ面白かったのが、家具コーナーの横に、ペンキコーナーやノコギリなどの工具コーナーがあることだ。日本の家具屋にペンキコーナーはまずない。IKEAでは家具やインテリア=DIY(Do IT Yourself)として認識されているのがよく分かる。
    ■ IKEAのペンキコーナー

     
     日本では家具屋とDIY店が同じ類のものとしてとらえられることは少ない。手ごろな価格でデザイン的な既製品とそれに連続するマテリアルを扱う店が日本にはなかった。DIY店にはマテリアルはあってもそこに デザイン的な視点はなく、東急ハンズも既製品とマテリアルの双方を扱っているけど、それらは完全に別のもので、マテリアルから既製品まで連続する商品構成 はIKEAオリジナルであり、これは自社企画製品だからできること。「既製品的にも売り」「パーツとしても売る」こうした売り方がもっと一般的になれば、 消費者にはさらにセミオーダー的対応ができるようになって一から作る事のない人にも選択肢が広がってマーケットとしては面白くなると思う。
    自分で作ること、手を入れることによってそこには愛着が生まれる。

    ものに対する愛着に関しては下記の式で表せると思う。

      α(払ったお金)+
       β(手に入れるまでにかけた労力・時間)+
        γ(デザイン・機能のお気に入り度)+
         Δ(そのものに対する思い出・依存度)
           = 愛着度      αβγΔは各人における固有係数

     時間も掛けずさっさと買ってしまった安物には愛着がなくても、自分で時間をかけ、気に入ったものができれば、そこには思い出も生まれ、必然的に愛着度は高まる。愛着度が高まれば必然的に使い捨て的感覚ではものを買えなくなるだろう。



      カウンターなどの高さの違い
     北欧の人は背が高い。そして、家具も彼等を基準に作られているので当然、日本の標準サイズよりも高くなる。いくつかのサイズを実際に比較してみる。


           日本標準    IKEA
    カウンター  800-850     870
    ソファ    350-400   380-480
    チェア    400-450   400-450

                          単位はmm

    ・ カウンター は特に使い勝手で身長差がでやすい。昔のキッチンは800mmが標準。最近は850mmにシフトしてきている。しかしIKEAのカウンターはそれよりも高い870mm。私などは日頃から800mmのカウンターでは低すぎて、立て膝で料理したくなる思いでいながら850mmのカウンターでも低いと思っていたいので、これくらいあればいいと思うのだが、背の低い女性や子供などには高すぎる高さだ。

    ・ ソファ もかなり高めに設定されており、約5センチ日本の標準サイズよりも高い。オットマン(椅子に付属した足をのせる台)を使うのが前提となっている高さのような気もする。

    ・ チェア はなぜか高さの差はない。これは少し不思議。

     こうして比較してみると店舗内で「高いな〜」と言いながらソファに座っていたお客さんが何人もいたのがうなずける。この高さの違いはアジア各国を含め、世界中で販売されていることを考えると身長差だけではないような気がする。身長差に加えて“靴を脱ぐ文化”かそうではないかも大きな違いであろう。慣れもある程度あると思うが、高めのソファがどう受け入れられるのか興味深い。


    ■  家具のシリーズ化、パーツの規格化

     家具のシリーズ化は多くの家具メーカーが手がけている。しかし、それと共にパーツで販売するやり方はまだあまり馴染みがない。バリエーションという形でテーブルの天板の色や素材が変えられたりするやり方はあるが、IKEAでは天板と足を自由に組み合わせることができる。天板の素材・サイズが33種類、足が13種類、あり、それぞれの組み合わせによってひとつのテーブルを作る。天板だけでも買えるし足だけでも買える。こうしたシステムでは、壊れたり、ダメになったものだけ買い換えればいいので合理的かつ環境に優しいので理想的だ。全部がセット販売されるとこうした買い方はできないので、必然的に全部買い換えるハメになる。
     さらにパーツ化はテーブルだけではなく、引出の取っ手や、細かいパーツまで単体で販売されている。取っ手がないデザインの引出等もあるが、必要ならば自分でつけてくださいというスタンスだ。セルフ塗装やこうした部品の追加をすることにより、より自分が好きなデザインにカスタマイズできる。
     照明も同じだ。家具に内蔵できる小さなローボルトのダウンライトをはじめ、シェードと土台がそれぞれパーツで販売される。こうした販売手法はDIY店というよりも東急ハンズに近い。IKEAの競合店として、ニトリ、無印良品、フランフラン、通販のディノスなどの家具販売店を以前にあげたが、それに加えて東急ハンズなどマテリアル販売店とも競合してきそうだ。


    ■  肩肘をはらない楽しみ方

     日本に西欧のインテリアという概念が入ってきてまだ百数十年。インテリアコーディネーター資格を認定する社団法人 インテリア産業協会の前身、インテリア産業協議会が1978年にできてまだ30年弱。すごい勢いでインテリア文化を吸収しているとはいえ、西欧的インテリアの歴史は成熟度がまったく違う。まだまだ一般的に日本ではインテリア=非日常的なもの・お洒落なものであって、肩肘張ったところが多いのではないか?しかしIKEAをみていると『生活の中にインテリアが根付いている』そう感じた。息の抜けた北欧らしいデザイン、DIY的な感覚、多彩な色と柄、日常的なアートワーク、小物の遊び心 などそう感じた要素はいくつもあるが、何よりも“白一辺倒の空間”ではなく、そこには“色と柄と素材感”がある。そしてスパイスに“遊び心”を一振り。看板やHPにも登場する↓写真のハートのぬいぐるみは99円で売られていて、店舗内のあちこちにワゴンに入れられ、山積みで登場する。
    ■ IKEAのマスコット的ハートのぬいぐるみ

     どれも形がいびつだったり作りはチープそのもの。しかし、ひとたびワインに抱かせればプレゼントにピッタリだし、TシャツにつければオリジナルTシャツのできあがり。10個ほどつないで輪っかにすればオーナメントにもなる。こうした“遊び心”はまさに『生活を楽しむ』ことにほかならない。

     ハートのほかにももっと大量においてあったものがある。

    ■ 幸福のアイテム 蛇のぬいぐるみ


     そう、それはこの蛇のぬいぐるみ達だ。入場の時には店のスタッフが首に巻いたり、これもハートと同様あちこちに山積みにされている。しかも値段は490円。何百、何千という大量の蛇たちに女性陣は嫌がっている人も多かったが、子供達は楽しそうに自分より大きい蛇を首に巻いたり、引きずったりしていた。
    夢判断では『蛇が家の中や服の中に入って来る』

    子供に良いことが起こる  家庭の幸福  
    と、蛇は幸福を呼ぶ動物だ。シンガポールやパリのカタログや日本のHPには蛇は出ていなかったので日本オープン記念の商品だと思うが、こうした“遊び心”もまた楽しませてくれる。
     アートワーク(絵や写真や彫刻など)をかなりの数扱っているのも大きな特徴だ。特に大きな額類が豊富で、ポスターとセットになっているものもあり、ここでは絵のある暮らしが日常になっている。このようにIKEAは家具やその周辺のものを売りながら、肩肘張らない『生活』を楽しむ雰囲気。そうした空気をうまく日本にも伝えてくれているような気がする。使いこなす術は売ってはくれない。あとはこれを我々がどう使いこなすかにかかっている。

     そうそう、ひとつ書き忘れたことがある。店舗内は写真撮影OKだった。変にせこくない。これも大事なことだと思う。



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    この記事に対するコメント

    愛着の方程式は自作だよ(^^)

    前回のコメントを元に少し文章を少し改訂したよ。
    我ながら読んでいて変えたくなったわ(笑)
    じゅんぺい? | 2006/05/09 2:02 AM
    確かに、これからのマーケットの広がり方はちょっと面白いかも。。
    あと、ライバル店の出現、既存のメーカーへの影響とか。


    愛着の方程式、面白い!
    これ自分で考えたの?すごい分かりやすいね。
    サワイ | 2006/05/06 12:42 AM
     誇張して書いている部分もあるけど、書きたかった意図がずれてしまったようなので少々補足

     主旨は、手ごろな価格でデザイン的な既製品とそれに連続するマテリアルを扱う店が日本にはなかったということ。DIY店にはマテリアルはあってもそこにデザイン的な視点はなく、東急ハンズも既製品とマテリアルの双方を扱っているけど、それらは完全に別のもので、マテリアルから既製品まで連続する商品構成はIKEAオリジナルであり、これは自社企画製品だからできること。「既製品的にも売り」「パーツとしても売る」こうした売り方がもっと一般的になれば、消費者にはさらにセミオーダー的対応ができるようになって一から作る事のない人にも選択肢が広がってマーケットとしては面白くなると思う。まさに自転車のボディから組み立てる感覚だね。

     作ったものに対する愛着は、全く同じもので「既製品」と「自分で作ったもの」があったらどっちを気に入るか?例えば「買ってきた野菜」と「自分で育てて収穫した野菜」どっちを大事にするか?当然、既製品でも愛着はわくだろうけど、同じもので比較しないと意味がないからね。

    ものに対する愛着に関しては下記の式で表せると思う。
    α(払ったお金)+
    β(手に入れるまでにかけた労力・時間)+
    γ(デザイン・機能のお気に入り度)+
    Δ(そのものに対する思い出・依存度)
    = 愛着度
    αβγΔは各人における固有係数
    じゅんぺい? | 2006/05/05 4:51 AM
    店内写真撮影OKはなんか嬉しいね。

    そうそう、そういえば昔、少し高めのソファーで膝が痛くなった事があったよ。日本人の平均体型に家具の寸法が合わなかったら、それは少し痛いかもね。
    膝下が短い人多そうだから、、、日本人。

    で、疑問です。
    家具のDIY化に対する意識の話しで、少し強引さを感じました。

    ここで言っている「家具屋」って、”食”に置き換えるなら言わばレストランの様なものでさ、そもそもがすぐに使えるものを売るところじゃん?
    それに対してIKEAは「スーパー」みたいなもんで、「家具」を含めて生活全般としての「インテリア」、生活(DIY)スタイル(←これ!)を提案しているんでしょ?

    東急ハンズとの比較なら分かるけど、そもそもの成り立ち(コンセプト?)の違う「家具屋」さんと比較して、既製品を文化としてとらえた上で、しかも話しを”衣食”に置き換えて「自分で作らない人が大勢いる」と言ってしまう辺りに少し疑問です。

    まず、「商品」を売る既存の「家具屋」と、スタイルを売る「IKEA」を比較しても、「違い」は見えても新しい発見はなさそうだ、って思うんだけど。

    あとは「作らない人が大勢いる」のは自分の実感としてはそうとも思えないってこと。「しっかり家具も作る」という人の数と比較するなら、確かに「作らない人」は大勢いるのかもしれない。でも、既製品にアレンジを加える。壊れても多少なら直して使う。そんな人達も含めて、しかも「作る人」との比較じゃなくて、純粋にその人数だけを見ようとするなら、少なくないはずだよ。(自分の周りが特殊な人達の集まりでなければね)IKEAはそもそもそんな人達をとりあえずのターゲットにしてるんじゃないかな。ロングテールな人達。

    ものへの愛着が薄い人の一因は、確かにDIYは関係してるのかも知れないけど、そんなに大きい原因とも思えない。逆に自分で作ったからこそ自分で捨てられる。ってこともあると思うし。むしろ重要なのはその商品への生活の、または精神的な依存度なんじゃないかな。既製品でも十分に愛着は生まれると思うよ。


    話し少し飛んじゃうけどさ、最近あまり自分好みの自転車を見ないから、今度はパーツを集めて組み立ててみようと決めてさ。とりあえず、ヤフオクでボディーだけ買ったよ。いつ出来上がるもんだか。。心配半分、でもワクワクも半分♪
    サワイ | 2006/05/02 11:19 AM
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