こころとからだの建築家BLOG

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ジョルジオ・アルマーニ展 part2 −【視野】と【視点】の取り方

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     アルマーニはそんなに好きなデザイナーというわけでもないが、医学部に通いながらファションに関わっていた、いわば門外漢デザイナーとして興味がある。

     例えば手塚治虫も医学部卒の漫画家、ジャン・フランコ・フェレ、パコ・ラバンヌは建築学科出のファッションデザイナーと、別分野から転身してきた人の仕事はファッションや建築、デザインにかかわらず視点が面白い。同じ世界にいると、【視野】を広く持っているようでも【視点】がその世界に染まってしまっていることが多い。

     最近何度か聞いたのは法曹界における進路の話なのだが、ロースクールができた事によって、必ずしも大学の法学部に入って法律を学ぶのがいいとは限らないという。それよりも、例えば経済・経営・理系の専門分野などを学んでからロースクールに行ったほうがその先の仕事をする上でいいということだ。法律にしても法律を使う上で、違った【視点】で得意分野・専門分野を持ち、【視野】を広げていた方がいいという事だろう。こうしたことは法曹界に限った事ではなく、あらゆる分野でも同じことが言える。

     ファッションにおいては、1980年代 コム・デ・ギャルソン 川久保玲 ヨウジ・ヤマモトが黒ずくめの「カラス族」と呼ばれパリコレで一世を風靡したのも、洋装文化を持っていなかった日本からの【視点】をもって進出していった結果であり、逆に日本で海外デザイナーが新鮮に見えるのも、文化の違いという【視点】の差異によるところが大きい。

     しかし現代社会において、文化の差異は次第に薄くなりつつある。伝播のスピードにおける時差がなくなったと言った方がいいのかもしれない。大陸間の交流が全くなかった時代〜船で交流していた時代〜飛行機で交流してる時代〜電波で交流してる現代。言葉・もの・ことの国際化が進み、伝播のスピードがほぼリアルタイムになってしまった現代では、世界中で情報の共有化・画一化が進んでいる。同じものを見ていれば、自然と【視野】と【視点】も似通ってくるので、これまでのような文化の違いがそのまま【視野】と【視点】の違いには結びつきにくくなる。

     情報量が加速度的に増大して処理しきれなくなると、今度は情報を整理するものが現れる。ポータルサイトや検索サイト、ランキングサイトがその役割を果たしているのだが、こうしたサイトによってインデックスが張られる事により、検索結果やランキング上位のサイトが連鎖的に結びついてしまい、情報の勝ち負けがはっきりするようになる。インデックスの付いた情報がよい情報とされ、インデックスが付かなかった情報は埋もれていく。こうした情報の整理により、情報源が違っても結果は同じと言うような状態になってしまう。こうして情報量が増えれば増えるほど、逆説的に情報の画一化が進んでいくことになる。

     例えば本を読むときに線を引くと、次からは線を引いたところしか読まなくなり、情報は整理されるのだが同じ情報しかヒットしなくなるのと近い。始めに線を引かなかったところにも、必要な情報が残っている可能性もあるのだが、そうした可能性は低いという確率論で切り捨てられている。様々なものが多様化しても、多様化された中で整理される情報は画一化されたものになってしまう。これだけファッションが多様化しているのに、若い子はみんな同じような雰囲気に見えるのというのは、みんなが同じような赤文字系(JJ、cancam、viviなど、タイトルが赤い文字の雑誌をこう呼ぶらしい)の雑誌をみてるからなのだ。

     グローバルなボーダレス社会に、言語のハンデと情報の画一化を乗り越え、独自の方向性を模索するためにはどうしたらいいのか。最先端のファッションも初めは受け入れられない。売れなくてはいけないビジネスやネット環境では特に、多く人が迎合する部分を狙ってしまい、そこにニッチなものや納得できるものはあってもアバンギャルドなものはほとんどない。そしてマーケティングからはほどほどのものしか生まれないという。売れるものが必ずしもいいものだとは決して思わない。ここでヴァレリーの言葉を引用して今後のひとつの指針としたい。

    世界は平均的なものによって成り立っているが、その価値は極端なものによってしか産み出されない。
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