こころとからだの建築家BLOG

住まいの統合医療で50兆円にせまる医療介護費を半減させる!!
<< July 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>

マンションは何年持つのか?その2 〜時限爆弾の導火線は抜くことができるのか?

0
     耐用年数の違いは当然建て替えにも影響を及ぼす。ここで欧米各国の建て替えについての法律を見てみよう。
    ■ドイツ
    「大規模損傷を受けた場合、全員の合意のみで修繕・復旧が可能」
    ■フランス
    「老朽化による建て替えは全員一致」
    ■アメリカ 統一コンドミニアム法
    「80%の決議で区分所有関係が終了」
    ●日本
    1983年中曽根政権下で全員一致から「五分の四以上の賛成」へ転換。この法案成立時に都市開発を進める森ビル社長が参考人として法制審会議に出席し、都市再生と建て替えを訴え、再開発ラッシュの口火を切った。そして再開発により通常の倍の容積率を獲得し、開発利益が転がり込んでいるという背景がそこにはある。
                         (参考文献 *1)

     古い共同住宅は、建て替え時に今までの面積より大きな建物を建設し、その余剰分の販売によって建設費をまかなう再開発のやり方が常套手段だった。例えば代官山アドレスの超高層マンションも、もともとあった低層の同潤会アパートの敷地に再開発によって建てられたものであり、昔から住んでいた住民はその居住権をそのまま新しいマンションでも持つこととなった。こうした再開発の余地のある古いマンションを買い、再開発終了後に高値で売りさばくブローカーもいるらしい。しかしこのやり方は容積率に余裕がある場合にのみ成立するのだが、現在の新しいマンションのほとんどは、建築基準法の容積率いっぱいまでに緩和規定まで使って建てられているので、こうしたオイシイ再開発の手法は使えず、建て替えするとなればその費用はそのまま住民が負担することになる。そうした時期には住民もかなり高齢化していて負担は重くのしかかるばかりか、もし4/5以上の決議で建て替えが決まってしまったならば、行く場所がなく路頭に迷ってしまう可能性もある。
     実際に私が関わっているマンションでもスロープを付けるつけないといった議論でさえ住民の合意形成に10年近く費やしており、建て替えなどの大きな金額がかかるものとなるとさらに合意形成は難しく、無事に建て替えに至るケースはかなり少ないという。こうした状況でディベロッパーや販売会社は売り切ることによってその後はノータッチ、おいしいところを持って行ってあとはどうなっても知らんぷりなのだ。それでも仕方ないから、これしかないから人々はマンションを買うが、これが本当にいいやりかたではないはずだ。
     土地所有や住宅所有の考え方や運営方式、都市居住のあり方を再構築するにはあまりにも複雑な問題が絡みすぎている。建て替えをせずに10年−20年程度なら先延ばし先延ばしでいけるのかもしれない。しかし合意形成ができずに建て替えもできない状況においては、転売もできずに次第に住民が出て行ってしまうだろう。こうなるとあとは住民が死ぬのを待つか、廃墟になるのを黙ってみているかという状況になりかねない。特に800戸以上あるような超高層マンションにおいては合意形成ができないような状況は大いにあり得るので、今の高層マンションブームは一転、同時期に大きな社会問題になってしまう可能性を潜めている。

     容積率を緩和して再開発するやり方は麻薬的だ。行政が地図上で容積率数字さえ増やせば、地主もディベロッパーも収益が増えるので大喜びだ。得をする人はいても個人的に損をする人はいないことが余計にその麻薬性を増大させる。しかし、そうして高層化することが本当に都市にとって最適解なのか?人が生活するのにふさわしい場所なのか?そうした議論は置き去りのまま、数字の操作だけで話は進んでいく。おそらく今後もそうした政策で問題を先送りする可能性は大いにある。しかし、再開発の上に再開発をすれば、また都心の人口は増え、周辺の空室率は増加し、数々の違った問題が表出してくる。超高層に住む人の割合が増えればそこで子を育て、生活する人々への影響も大きな問題となってくるだろう。真偽についてはわからないし個人差もかなりあると思うが、そうした影響がもし本当に出始めているのならば、ディベロッパーはそうした事後調査を行い情報を公開するべきだし、住民も納得した上で購入していくべきだろう。
      ■参考HP (真偽はご自身で判断ください)
      驚愕データ! マンション住人は寿命が9年短い

     ここで批判をするだけではなく、現在の私の考えを最後に提示してみよう。
     ひとつは基本的に土地は個人の持ち物ではあっても国民の共有財産として地域の利益のために利用していくことが自然であり、ここまで投機の対象として利用されている状況は海外から見れば異常事態だという。特に国が国有地を切り売りしている状況は理解に苦しむ。国が一時しのぎの財政のために財産を切り売りするのが本当にベストの解答だとはとても思えない。長い目で見れば、国が運用していくという視点が必要ではないだろうか?話はそれたが地域がその中にある土地を有効に利用していく視点は、行政からの押しつけでは成立しないし、そこに住む人々が街を作るという視点が必要になってくる。イギリスのリースホールドが日本のような区分所有に近いコモンホールドに切り替わりつつあるというが、これに関しては日本は逆行してリースホールどという視点が必要なのではないかと思っている。

     そして、建て替え問題に関してはアメリカコンドミニアム法にあるような「80%の決議で区分所有関係が終了」という考え方がすっきりしていていいと思う。区分所有関係を解消し、土地や建物を売却しその売却益を分割配分することで、また新しくその土地にマンションをたてるのならばそこに戻るもよし、他に移るもよし、とすれば余計な問題を抱えることなく話を進められるはずだ。戸建てならまだしも、マンション購入=終身居住的な意識を持つことにそもそも無理があるのだ。RC造の場合47年の建物の減価償却期間が済んでしまえば、資産価値はなくなってしまうというのもおかしいが、建物がほとんど資産とならない状況で、さらに高層になればなるほど一世帯あたりの区分所有土地面積は小さくなるので、たとえ土地も含めて売却したとしても金額はしれている。やはり区分所有=資産所有とみるのはどう考えても無理がある。これがマンションにおけるひとつの幻想だと思うのだ。区分所有権とはいっても、状況を考えるとあくまで居住権の売買と考えた方が納得いくはずだ。それならディベロッパーは土地を所有したままのリースホールドにすればいいのだが、彼らはそれをしない。面倒なことをせずに売り切ってしまった方がうまみがあるのだ。

     もうひとつは基本的な生活の場所を確保するために、公的資金を使ってでも公営住宅をもっと充実させるべきであり、しかも今までのような通常のマンションタイプに加え、個室を持ちつつLDKを共有するシェアタイプを導入していき、ここには若者だけではなく、単身の老人も優先的に入居できるようにする新しいタイプの集合住宅の可能性もあると思っている。こうした住宅の運営管理にはNPOなどが担い、公共と言うよりも半公共的な立場で運営していくべきである。参考文献にも上げたが、『あなたのマンションが廃墟になる日 建て替えにひそむ危険な落とし穴』でもいくつかの事例が紹介されている。興味のある方はご一読を。

     最後にあげておきたいのは大家族の復権だ。家族だけでなく、新しい集住の形といってもいいかもしれない。これはまた面白いテーマなので、また次回以降にまとめて書く予定だがこれもまた住宅事情に大きく関わってくる。

     問題は複雑に絡み合っており、私自身まだまだ不勉強で今後の展開や方向性に対する意見がまとまってはいない。しかしノマドではなく定住する以上、住宅問題から逃げることはできない。施主のために建築を作るのも建築家のひとつの役割だが、住むためのシステムをないがしろにしてこれを行うのは本末転倒だと思っている。建築家にはどうしようもないと逃げてしまうのは簡単だ。しかし、『Voice of Design』(*2)という言葉があるように、目指すべき方向性について声を発することが個々のデザインよりも先にするべき重要なデザインであると思っている。

      ■参考文献
      *1『あなたのマンションが廃墟になる日 建て替えにひそむ危険な落とし穴』 
      山岡淳一郎 草思社
      *2 日本デザイン機構が発行する機関誌の名称
      『Newsweek 日本版 特集:住めば住むほど得する住宅』2007.03.14号 
      阪急コミュニケーション


    DESIGN | permalink | comments(5) | - | -

    マンションは何年持つのか?その1 〜各国の住宅事情比較

    0

       昨年から150戸以上ある築30年以上経ったのマンションの改修に関わっている。日本では高度経済成長にのって1950年頃から多くのマンションが建築され、多くのマンションが築30年をすぎた最近になって大規模な修繕や、いつまで持つか?といった議論が始まっている。近年、数々のディベロッパーにより超高層も含めたマンションが乱立し、全世帯数に対する住戸数はすでに10数%の供給過剰の状態となっている。方向性の見えない政策の上でディベロッパーの超高層開発が広げられ、真偽はともかく高層での生活による悪影響があるという研究結果もでているのもお構いなしに高層マンションブームはまだまだ続きそうな勢いだ。

       新築で購入する際にはマンションの寿命などあまり考えていないだろう。しかし寿命はいつかはやってくる。そしてその寿命が左右されるものはメンテナンスだ。長期修繕計画をしっかり立て、小規模修繕と併せて管理をしっかり行っているマンションは30年経ってもまだまだ現役だが、管理のずさんなマンションは10年そこそこでも古さを感じてしまう。現在関わっているマンションも、私が住んでいるマンションも築30年以上経っているが、管理はとてもしっかりしている。こうした管理があるのも、住民による持ち回りの管理組合がしっかり活動しているからであり、マンションにおいてはこうした組合の取り組み具合で寿命が決まってくると言ってもいい。

       管理組合や住民の方と話をすると、マンションの耐久年数について頻繁に聞かれる。しかしこうした住民の耐用年数に対する疑問をよそに、ディベロッパーなどの販売会社は一様に口を濁す。「一概に言えない」「ケースバイケースだ」などという答えしか返ってこない。たしかにどの様な状態になったら寿命なのかは主観的なものであり、状況もメンテナンス次第である。高層マンションが初めて建てられてからたかだか100年、超高層マンションに至ってはせいぜい30年と言ったところだ。まさに前例がない状態なので、販売会社が回答できない(明言を避けたい)気持ちはよくわかるし、実際私もそうとしか答えることができない。
        ■参考HP 日本のマンションの歴史


       1999年までの日本は鉄筋コンクリート住宅の「法定耐用年数(固定資産評価や税制上の減価償却年数)は、60−65年とされてきたが、実際は平均37年で再建されていた。そしてこれにあわせたように財務省は1999年に「法定耐用年数」を47年に短縮した。
      これに対して欧米の住宅リサイクル年数はイギリス「141年」、アメリカ「103年」、フランス「86年」、ドイツ「79年」となっている。中古住宅市場も日本は小さく、売買される中古住宅の割合はアメリカ77%、イギリス86%、フランス71%、に対して日本は13%と極端に少ない。これは日本のスクラップ&ビルドを際だたせているだけではなく、欧米におけるストック型社会と比べて、日本ではトータルの住宅建設費が倍以上(耐用年数が短い分だけ頻繁に建て替えなくてはならない)かかるということであり、そのぶん日本人は余計に働いて稼ぐか、他の支出を減らすことにより生活していかなければならない。これはフロー型消費社会においてはお金が動いていくので推進されるべきことなのだろうが、現状のままでは長期的な視点に立った豊かなストック型社会とはなっていかないばかりか、一生住宅ローンに追われる生活が孫の世代になっても変わらないという状態が続くことになってしまう。「初代が家を買い」「2代目が家具をそろえ」「三代目が食器をそろえる」というように代を越えて住宅や家具を長く使っていくような考え方は日本においてはまだまだ遠い先の話になりそうだ。

       最近見かけるSIマンション(SI=スケルトン・インフィル)は構造体からインフィル=設備や内装部分を分離し、より頻繁な更新が必要な部分を容易に工事できるようにしているシステムで、これにより100年マンションを目指している。このシステムで評価にしたいのは、ひとつの目標とはいえ100年という明確な数字を出してそれに向けての工夫をしているところだ。こうした姿勢は売ったらおしまいのディベロッパーとは一線を画す試みだと言っていいと思う。コスト的に見てもSIの場合イニシャルコストは5%ほど高いが、修繕を含めたランニングコストを含めると、100年住めば200-300万円程度安くなると言う。こうした数字も結果がどうなるかは100年先まで待たなくてはならないが、先がどうなるかわからない事をわかっていながら安く作って売ることだけを考えているディベロッパーが多々あることを考えると、こうした試みは評価すべきだろう。
        ■参考HP 究極のSIマンション
       
       日本では中古住宅が買ったときより値が上がることは、土地が上昇しない限り考えられないが、欧米では美観やメンテナンス、周辺環境の向上により、10倍近い値で売れることも珍しくない。特に欧米では街並みに対する意識が高く、いい街並みは確実に資産価値を上げる。日本でも今後こうした方向に向かうためにはまず土地制度を再考しなくてはならないだろう。これは街並み形成などにおいても参考になるのだが、興味のある人はイギリスのリースホールドが参考になる。

        ■参考HP 
        マンション管理・英国の概況 リースホールドとコモンホ一ルド


                           その2へ続く・・・
      DESIGN | permalink | comments(0) | - | -

      街並みの色彩学 〜世界を狂わせているのは“黒”なのか?

      0
         数年前から建築や人の着る衣服も含めた街並みの色彩分析をしており、その中で都市の色彩的な特徴を読み取り、色彩が人に与える影響についていろいろ文献をあたり始めた。色彩から街を読み取る体系的な研究はほとんどないのだが、様々な文献を読み進めていく中で、今後の指針となりそうな手応えを感じている。

         現代都市の街並みを俯瞰すると、ベースカラーは圧倒的に無彩色が多い。そこに看板や車、衣服が加われば色彩も入ってくるが、コンクリートや鉄とガラス、アスファルトに囲まれた空間のベースに彩度はほとんどない。しかも、街並みの中にいる人々の衣服もかなり割合で無彩色が見られる。

         これを自然の中と比較してみよう。青い空に、青い海、緑の森や草原に、茶色い土や樹木の幹、色彩豊かな花々。断崖絶壁の岩山や砂漠の中でも岩や砂は赤みがかっている。こうしてみると自然の中に無彩色はほとんどないことに気付く。雪と夜の闇がかろうじて無彩色だろうか。

         人類は数百年かけてこの無彩色都市を作ってきたのだが、我々は現代都市の無彩色空間にあまりに慣れてしまっている。人間の適応能力は素晴らしいものだ、しかし数万年も暮らしてきた色彩豊かな自然界から見れば全く異質な無彩色空間に我々は本当に適応していると言えるだろうか?

        「色彩生命論 イリスの色」野村順一では色彩療法なるものがBC500年頃ピタゴラスによって用いられていたといい、自然光の重要性と、色が発する無意識的影響について書かれているので興味深い事例をいくつか参照してみよう。(「」内は引用文)

        ■「どんな人でも真っ白い衣服を2日着ただけで、風邪が治るとさえいわれている」

        ■「同じ大きさのトマトを3つ摘んで、一つは白い布地、二つ目は赤い布地、三つ目は黒い布地で包み、日光の当たるところに置きます。――白い布地のトマトはつるで実ったトマトと全く同様に自然に熟していました。赤い布地の中のトマトは、熟し過ぎていて、切ってみると種と果肉のいたるところに黒い痕跡がみられ、醗酵していました。黒い布地の中のトマトは、全く熟していませんでした。緑色のままで、しかも切ってみるとしなびて腐っていたのです。」

         白い色は全ての色波長を伝導し、体にまで色(光)が届くから身体にいいという。

        ■「教会のステンドグラスの赤、赤紫、緑、黄の透過光が病人をなおすと考えられ、その色光の効力は祈りと音楽(音響療法)で高められた」

        ■1875年にポンザと言うヨーロッパの医者が行った色彩療法では
        「無口の妄想患者は、赤い部屋に収容されて3時間すると、陽気でで快活になりました。また、拒食症の患者は、赤い病室に入れられると、朝食はなんでもいいと要求したばかりか驚くほどガツガツと食事を貪るようになりました。さらに、凶暴な患者は、拘束服を着て青窓の病室に閉じこめられたのですが、1時間も経たないうちに穏やかになってしまったのです。」

        ■「ピンクの蛍光灯はイライラや動揺を生み出す」

        ■「ピンクや黄色の蚊帳は蚊を寄せ付けない」
         人間と虫と視覚の違いはあると思うが、たとえば回転率を上げたい店の内装に黄色を使うのは、無意識の黄色に対する嫌悪感を利用し、早めに帰らせるためだという。

        ■「青色蛍光灯だけに人間が絶えず晒される生活環境を想定すると、そこから生まれてくる子供は、女子が70%、男子が30%となり、――現在の都市環境では多分にこのような状況に近づきつつある」というおそろしい仮説まである。

        ■「屋外のプールや浜辺で有害な紫外線から身を守るためには、黒が有効なのです。しかし、一般に日照率が低い地域や、太陽光線が乏しく常にスモッグに覆われた都会では、逆に、黒が有効な太陽光線のすべてのスペクトルを吸い取り、体に色を栄養として透過してくれません」

        ■「イタリアの美容研究家は『女性は黒い衣服を着てはいけない』と力説しています。その理由は、黒が女性の皮膚をいためるため、逆効果になるからです。」

        ■無彩色のマイナス効果
         身の回りのものを無彩色にすることが、精神科にかかる人が急増している原因だとしたら、それは建築や衣服の色について再考しなくてはならない。
        ・黒
        「気が滅入っているときに使ってはいけません。人々から切り離された孤独感をますます高じさせる事になりかねません。」
        ・白
        「ある環境にあまりに多く白が使われると、孤独感を強めてしまいます。」
        ・灰色
        「優柔不断をさらに悪化させ、過剰な興奮や軽率さを抑えることができますが、つまらないものをさらにつまらなくしてしまいます。」
         

         基本的にこれらの事例は従来の色彩心理学をベースにするのではなく、色彩生体学とでも言った方がいいのかもしれない。全盲の人でも色を感じることができるというように、目に入る光としての影響以上のものを色は持っている。心理学だと意味論も含まれてくるが、もっと無意識の段階、意味を排除した動物としての人間、大脳新皮 質をすり抜けて脳の旧皮質までダイレクトに色彩(光)が与える影響がたくさんあるのではないかというところに注目している。

         我々は身の回りの色について完全に麻痺しているようではあるが、無意識の中では確実にこれらの色(光)が与える影響が出ている。そうなれば街並みの建物や服装の色彩が人に与える影響はかなり大きいはずだ。しかし、そうした色彩論は全く確立されていない。

         まだまだ検証の段階ではあるが、数々の事例を見ても、日頃我々が多用している黒をはじめとする無彩色が身体にとっていい環境であるとは言えなさそうだ。迷走する現代社会の根幹を探っていくと、もしかしたら『色彩の誤用』が一つの大きな原因となっているのでは?すら思えてくる。

         色彩が身体に与える影響がどこまで研究されているのかこれからさらに突き詰めて調べていくつもりだ。情報も世界に行き渡り、ワールドワイドなグローバルデザインが世界を席巻した現在、もはやファッション的に形を弄ぶだけのデザインはメインストリームから退いてもらおう。そうした中で体を包む「21世紀の衣服と建築」と街並み形成のベースは色彩分析から始まるのではないかと思っている。

                        (2007.02.03 加筆修整)

        DESIGN | permalink | comments(14) | - | -

        IKEA(イケア)ついに日本上陸!!part3 −文化の違いからみるインテリア

        0
           商品を見て回っているうちに、日本とスウェーデン(海外)におけるいくつかの文化の違いに気が付いた。

            ■ 壁面にネジで固定する家具が多い
            ■ セルフ塗装を前提とした無塗装家具がある
            ■ カウンターなどの高さが高い
            ■ 家具のシリーズ化、パーツの規格化
            ■ 肩肘をはらない楽しみ方



          ■ 壁面にネジで固定する家具
           基本的に日本の賃貸住宅では壁には穴を空けないというのが、暗黙の了解のようになっている。それゆえ、最近の賃貸住宅ではハンガーレールを取り付けたりして対処しているが、古い賃貸ではそうしたものはないに等しい。こうした現状では、賃貸住宅で壁にねじ込む家具は欲しくてもなかなか使いにくいのが現状だ。それゆえ日本では吸盤式や両面テープ式のものが多いのだが、IKEAには全くなかった。IKEAは全世界ほぼ共通の商品群を販売しているので、日本に特化した商品企画はしていないだろう。こうした中で文化の違いがどう出るか興味深い。
          ■ 壁掛け式の家具

           私の借りているマンションは築30年以上経っており、管理会社からもこわごわ住むことはないと言われているので、壁にも結構穴を空けている。どうせ5年も住めば壁紙も貼り替えるのだし、多少ならパテで埋めておけばいいので、あまり気にせずやろうと思っているが、穴を空けにくい賃貸住宅の現状では壁掛け式家具は持ち家の人のみのものとなり、あまり延びないだろう。


          ■  セルフ塗装を前提とした無塗装家具

           もうひとつ面白かったのが、家具コーナーの横に、ペンキコーナーやノコギリなどの工具コーナーがあることだ。日本の家具屋にペンキコーナーはまずない。IKEAでは家具やインテリア=DIY(Do IT Yourself)として認識されているのがよく分かる。
          ■ IKEAのペンキコーナー

           
           日本では家具屋とDIY店が同じ類のものとしてとらえられることは少ない。手ごろな価格でデザイン的な既製品とそれに連続するマテリアルを扱う店が日本にはなかった。DIY店にはマテリアルはあってもそこに デザイン的な視点はなく、東急ハンズも既製品とマテリアルの双方を扱っているけど、それらは完全に別のもので、マテリアルから既製品まで連続する商品構成 はIKEAオリジナルであり、これは自社企画製品だからできること。「既製品的にも売り」「パーツとしても売る」こうした売り方がもっと一般的になれば、 消費者にはさらにセミオーダー的対応ができるようになって一から作る事のない人にも選択肢が広がってマーケットとしては面白くなると思う。
          自分で作ること、手を入れることによってそこには愛着が生まれる。

          ものに対する愛着に関しては下記の式で表せると思う。

            α(払ったお金)+
             β(手に入れるまでにかけた労力・時間)+
              γ(デザイン・機能のお気に入り度)+
               Δ(そのものに対する思い出・依存度)
                 = 愛着度      αβγΔは各人における固有係数

           時間も掛けずさっさと買ってしまった安物には愛着がなくても、自分で時間をかけ、気に入ったものができれば、そこには思い出も生まれ、必然的に愛着度は高まる。愛着度が高まれば必然的に使い捨て的感覚ではものを買えなくなるだろう。



            カウンターなどの高さの違い
           北欧の人は背が高い。そして、家具も彼等を基準に作られているので当然、日本の標準サイズよりも高くなる。いくつかのサイズを実際に比較してみる。


                 日本標準    IKEA
          カウンター  800-850     870
          ソファ    350-400   380-480
          チェア    400-450   400-450

                                単位はmm

          ・ カウンター は特に使い勝手で身長差がでやすい。昔のキッチンは800mmが標準。最近は850mmにシフトしてきている。しかしIKEAのカウンターはそれよりも高い870mm。私などは日頃から800mmのカウンターでは低すぎて、立て膝で料理したくなる思いでいながら850mmのカウンターでも低いと思っていたいので、これくらいあればいいと思うのだが、背の低い女性や子供などには高すぎる高さだ。

          ・ ソファ もかなり高めに設定されており、約5センチ日本の標準サイズよりも高い。オットマン(椅子に付属した足をのせる台)を使うのが前提となっている高さのような気もする。

          ・ チェア はなぜか高さの差はない。これは少し不思議。

           こうして比較してみると店舗内で「高いな〜」と言いながらソファに座っていたお客さんが何人もいたのがうなずける。この高さの違いはアジア各国を含め、世界中で販売されていることを考えると身長差だけではないような気がする。身長差に加えて“靴を脱ぐ文化”かそうではないかも大きな違いであろう。慣れもある程度あると思うが、高めのソファがどう受け入れられるのか興味深い。


          ■  家具のシリーズ化、パーツの規格化

           家具のシリーズ化は多くの家具メーカーが手がけている。しかし、それと共にパーツで販売するやり方はまだあまり馴染みがない。バリエーションという形でテーブルの天板の色や素材が変えられたりするやり方はあるが、IKEAでは天板と足を自由に組み合わせることができる。天板の素材・サイズが33種類、足が13種類、あり、それぞれの組み合わせによってひとつのテーブルを作る。天板だけでも買えるし足だけでも買える。こうしたシステムでは、壊れたり、ダメになったものだけ買い換えればいいので合理的かつ環境に優しいので理想的だ。全部がセット販売されるとこうした買い方はできないので、必然的に全部買い換えるハメになる。
           さらにパーツ化はテーブルだけではなく、引出の取っ手や、細かいパーツまで単体で販売されている。取っ手がないデザインの引出等もあるが、必要ならば自分でつけてくださいというスタンスだ。セルフ塗装やこうした部品の追加をすることにより、より自分が好きなデザインにカスタマイズできる。
           照明も同じだ。家具に内蔵できる小さなローボルトのダウンライトをはじめ、シェードと土台がそれぞれパーツで販売される。こうした販売手法はDIY店というよりも東急ハンズに近い。IKEAの競合店として、ニトリ、無印良品、フランフラン、通販のディノスなどの家具販売店を以前にあげたが、それに加えて東急ハンズなどマテリアル販売店とも競合してきそうだ。


          ■  肩肘をはらない楽しみ方

           日本に西欧のインテリアという概念が入ってきてまだ百数十年。インテリアコーディネーター資格を認定する社団法人 インテリア産業協会の前身、インテリア産業協議会が1978年にできてまだ30年弱。すごい勢いでインテリア文化を吸収しているとはいえ、西欧的インテリアの歴史は成熟度がまったく違う。まだまだ一般的に日本ではインテリア=非日常的なもの・お洒落なものであって、肩肘張ったところが多いのではないか?しかしIKEAをみていると『生活の中にインテリアが根付いている』そう感じた。息の抜けた北欧らしいデザイン、DIY的な感覚、多彩な色と柄、日常的なアートワーク、小物の遊び心 などそう感じた要素はいくつもあるが、何よりも“白一辺倒の空間”ではなく、そこには“色と柄と素材感”がある。そしてスパイスに“遊び心”を一振り。看板やHPにも登場する↓写真のハートのぬいぐるみは99円で売られていて、店舗内のあちこちにワゴンに入れられ、山積みで登場する。
          ■ IKEAのマスコット的ハートのぬいぐるみ

           どれも形がいびつだったり作りはチープそのもの。しかし、ひとたびワインに抱かせればプレゼントにピッタリだし、TシャツにつければオリジナルTシャツのできあがり。10個ほどつないで輪っかにすればオーナメントにもなる。こうした“遊び心”はまさに『生活を楽しむ』ことにほかならない。

           ハートのほかにももっと大量においてあったものがある。

          ■ 幸福のアイテム 蛇のぬいぐるみ


           そう、それはこの蛇のぬいぐるみ達だ。入場の時には店のスタッフが首に巻いたり、これもハートと同様あちこちに山積みにされている。しかも値段は490円。何百、何千という大量の蛇たちに女性陣は嫌がっている人も多かったが、子供達は楽しそうに自分より大きい蛇を首に巻いたり、引きずったりしていた。
          夢判断では『蛇が家の中や服の中に入って来る』

          子供に良いことが起こる  家庭の幸福  
          と、蛇は幸福を呼ぶ動物だ。シンガポールやパリのカタログや日本のHPには蛇は出ていなかったので日本オープン記念の商品だと思うが、こうした“遊び心”もまた楽しませてくれる。
           アートワーク(絵や写真や彫刻など)をかなりの数扱っているのも大きな特徴だ。特に大きな額類が豊富で、ポスターとセットになっているものもあり、ここでは絵のある暮らしが日常になっている。このようにIKEAは家具やその周辺のものを売りながら、肩肘張らない『生活』を楽しむ雰囲気。そうした空気をうまく日本にも伝えてくれているような気がする。使いこなす術は売ってはくれない。あとはこれを我々がどう使いこなすかにかかっている。

           そうそう、ひとつ書き忘れたことがある。店舗内は写真撮影OKだった。変にせこくない。これも大事なことだと思う。



          DESIGN | permalink | comments(4) | trackbacks(0) | -

          IKEA(イケア)ついに日本上陸!!part2 −スウェーデンの文化大使企業

          0
             前回のレポートに引き続き、6つの挙げたキーワードをもとにIKEA日本1号店のオープン詳細をお送りします。

            ■ グローバル企業であり、スウェーデンの企業であることの誇り

             企業のCI (corporata identity)はいまや常識となっているが、IKEAは2つのCIを同化させ、徹底的に利用することによってそのブランドイメージを確固たるものにしている。その2つのCIとは 【corporate identity】と【country(national) identity】だ。以前にも国の色について少し書いたが、ここでもまた国のCIとしての国旗がでてくる。コーポレートカラー(corporate color)もCIの一つであり、特にフランスのトリコロールやオランダのオレンジ、などはよく例に出される。スウェーデンの国旗は青に黄色の十字。そしてIKEAもこれをそのまま自社のCIとすることにより、スウェーデンの企業であることをよりわかりやすく表現し、この二つのCIである青と黄色を徹底的に利用することによって、ブランドイメージをより強固なものとしている。

             その一例を挙げてみよう。
            ・ロゴマーク 
            ・巨大な店舗の外観 (景観条例がある地区にはとても建ちそうもない(笑)
            ・スタッフのユニフォーム (黄色のシャツとTシャツ ほとんどの人はこれにジーンズを合わせているので、自然と青と黄色の組合せになる)
            ・店舗内の展示(青と黄色のイスを国旗型に並べたものなど)
            ・店舗内の買い物袋 黄色
            ・持ち帰り用の有料バッグ(70円) 青 (店舗内用バッグと色違い)
            ・持ち帰り用のセルフサービスの包装紙+プラスティックの持ち手


            ■ 上から、スウェーデン国旗、IKEAのロゴ(カタログより)
                  IKEA船橋ストアマネジャー(HPより)
                  店舗外観
                  70円の買い物バッグと包装紙+持ち手

              
             などなど挙げればきりがないが、形あるもの全てにまずは青と黄色を考えていると言ってもよさそうだ。国のCIと同化させ徹底的にそれを利用することによってシンプルでわかりやすいブランドイメージができあがっている。この徹底ぶりとその効果にはおもわずうなってしまった。

             そして、もうひとつ。それは食文化についてだ。店舗内にはレストランとカフェがあるのだが、そのメニューはスウェーデンの食文化がそのまま持ち込まれている。レストランではスウェーデンの代表的なミートボールとサーモンがメインメニューに組み込まれ。それにカフェではスウェーデン風ケーキ。さらに店舗内ではスウェーデンの代表的なチョコレートがあちこちで配られていて、気軽に北欧の味に触れることができる。
            ■ レストランのサーモンとミートボール カタログより

             さらにはレジを出たところに、スウェーデンの食材やお菓子、ビールなど自国製品が所狭しと置かれている。
            ■ スウェーデンの食材やお菓子、ビールなど自国製品のショップ

             他の多くのショッピングセンターの場合、テナントを誘致して任せるというスタンスを取るのだろうが、IKEAはそうはしない。そこには自国の文化を知ってもらおという姿勢があらわれ、すごく好感が持てた。そしてこれは世界各国何処の国でも同じスタンスで行われている。まさにIKEAはスウェーデンを代表する家具メーカーであると共に、彼等の作る店舗はスウェーデンの文化を紹介する、文化交流の場として作られているのだ。グローバル企業でありながら、基本的にはローカルな思想を大切にし、それを文化として販売戦略に折りこんでいくスタンスは素晴らしいの一言!!是非とも見習っていきたい。しかし、自国の代表的な食べ物だからと言って、そう美味しいものではないというのはご愛敬(笑)ちなみに出口で販売されているホットドックはなんと100円!!おもわず頬張りたくなる一品だ(^^)

            次回は、生活の中のインテリアについて書く。


            DESIGN | permalink | comments(0) | trackbacks(1) | -

            IKEA(イケア)ついに日本上陸!!− 朝一でオープンに駆けつける

            0
               
               昨年IKEAについての記事を書いてから早4ヶ月。とうとうオープンの日がやってきた。明け方まで仕事していたにもかかわらず、イベント好きな私はオープンに駆けつけるべく9時に南船橋に到着。記念すべき日本1号店36番目の客として、10時から18時まで8時間、目眩するほどの混雑の中、延々と果てしなく広大な店の中を彷徨い続けた。

              ■ スウェーデンのナショナルカラーをそのまま建物の外観に使った店舗デザイン

               来訪の目的は3つ。
               1 進行中のプロジェクトで使える家具や照明、アートワーク、小物の下調べ
               2 自分の部屋の雑貨類を買いそろえるため
               3 そして最大の目的は「世界ブランドランキング」において、アップル、グーグル、スカイプ、スターバックスなどに続いてトップ5の常連入るほどのスウェーデンのグローバル企業がどんな思想で店舗を作り、家具を売るのか、そして日本のマーケットにどんな風を吹き込んでくれるのか見るためであった。

               そしてこれらの目的は8時間の滞在でも飽きることがないくらい十分に達成することができた。詳細は後に次回に回すとして、今日はいくつか感じ取ったキーワードを列挙してみる。

              ■ グローバル企業であり、スウェーデンの企業であることの誇り 

              ■ 家具やその周辺のものを売りながら、肩肘張らない『生活』を楽しむ雰囲気

              ■ 「見せる空間」と「買い物をする空間」の分離と連動

              ■ 家具のシリーズ化、パーツの規格化

              ■ 生活の中のDIY

              ■ 大人から子供まで誰もが楽しめる店舗展開

               上記の6項目をざっとあげてみたが、これらの詳細はまた追って写真入りで報告する。

               500人ものスタッフを抱えるこの店のオープン、しかも日本第一号店、さらに既存店からのヘルプは皆外国人。研修不足、連携不足、英語力の不足によるコミュニケーション不足など悪い点を指摘すれば改善の余地はかなりある。しかし、それ以上にこれだけのものを作り上げた成果は素晴らしい!!商品だけ見るのであればカタログでもいいのかもしれない。実際、品質だけ見れば日本のほかの家具屋にいけばもっと作りのしっかりしたいいものも手にはいるし、デザインもよりモダンなモノも手に入る(もちろん価格もだいぶ上だが)しかしIKEAは家具や内装にあまり手を入れない(システム上入れにくい)我々に安くてもいいデザインのモノを自分で手間暇かけて工夫することにより“肩肘を張らず”に『生活』を楽しめることを証明してくれている。それよりもなによりもカタログで見ることのできるモノ以上に、実際に店舗に行かないと感じることのできない“異国の文化の誇り”を肌で感じに是非足を運んでみて欲しい。きっと様々な分野で参考になるはずだ。そしてここで是非感想を残してください。楽しみにしています!!


              DESIGN | permalink | comments(4) | trackbacks(1) | -

              iPod nano 一押しケース!!

              0
                 iPod nanoの発売とともに購入したはいいものの、あまりの人気にケースすら手に入らない状態だったのも今や昔の話。本体に負けない、いや本体の薄さとデザインを生かすケースが出てきた。

                 今回紹介するこのケースは、11月に行われた東京デザイナーズウィーク2005 100% Designの会場でデザイナー本人が販売しているのを見て、あまりの格好良さに即購入してしまった。その時点では日本での販売がまだ決まっておらず、手にはいるのはその場限りと言っていたので、その後これを見て日本での販売が決まったと思われる。

                 このケースはiPodとあわせてかなり気に入っており、デザインに興味がある人に見せるとみんな絶賛してくれるので、本当は私だけの秘密にしておきたかったのだが、こうしたいいデザインのものをもっともっと広めていきたいと思いここに紹介することにした。



                写真は上記ショップより引用

                 ジャパンデザインネット(JDN)が運営するデザイングッズのオンライン・ショッピングサイト「caina(カイナ)」で販売中です。

                 デザイナーはWolf Udo Wagner
                 寡黙だけどやさしい雰囲気の兄さんで「これはiPodのベストケースだ!!」と絶賛したらにこにこしながら喜んでくれた。こんなに有名なデザイナーならもっと仲良くしておくべきだった(笑)


                 一般的なケースは本体をカバーするが、このケースは傷つきやすいともいわれるiPod本体をほとんどカバーしない。カバーしてしまってはせっかくのiPodのスタイリッシュなデザインを隠してしまうことになるので、ここではiPodをフレーミングするだけで最大限覆わない形でカバーすることにより本体をより魅力的に見せている。
                 
                 付属品ビジネスは本体のシェアが大きいほど成功しやすいのでiPodの恩恵を受けている企業は五万とある。そうした企業にiPod税をアップルが徴収するという話しもあった。ただせっかく本体が格好いいのに付属品がかっこわるくて台無しというものはよくあるし、付属品が主張しすぎてしまうものも多い中、このケースは本体の格好良さを生かし、さらにさりげなく強烈にケースも主張している。今年私が購入したものの中でベスト3に入るデザインだろう。

                DESIGN | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | -

                IKEA 来春日本再上陸 〜日本のインテリアを面白くできるか

                0
                   家具やデザイン好きの人が来年のIKEAオープンを前に買い控えに入っている。
                   前回、IKEAが参入したときはまだ日本のインテリアに対する意識が熟していなかったのと、アクタスと共同出資だったため、うまくいかずに撤退。今回は上海に一大拠点を作り、横浜・船橋・神戸と港町に巨大店舗を単独出資で展開することにより、前回のリベンジを計ろうとしている。

                   スウェーデンに本社を構えるIKEAは日本ではまだ馴染みがないかもしれないが、「世界ブランドランキング2004」において、アップル、グーグルに続いて3位に入るほどのグローバル企業である。

                   日本における競合はニトリだと言われている。しかし、北欧デザインの本場のIKEAと、まだまだ未成熟なインテリア文化しかない日本のニトリではまだまだ差がありそうだ。実際に日本における商品展開と価格を見ないと分からないが、海外のカタログや商品展開を見ると、ニトリも日本市場だけ見れば健闘しているのだがまだまだ60年以上の歴史を持つIKEAと長いインテリアの歴史を持つ欧州に太刀打ちできていない。

                   IKEAはオリジナル商品を、企画・生産から販売まで一括して行っているSPA(製造小売業)企業である。企画・生産から販売まで全て自社管理のもとに行うことにより、収益を上げていくシステムはファッション業界では同じスウェーデンのH&Mやユニクロのシステムと同じだ。イメージ的には大塚家具も巨大店舗としてのテイストは近いが、寄せ集めの商品を売るだけでは収益も落ち、強力なブランドイメージも作ることができない。こちらはブランドというよりも流通業者的な役割の方が大きい。商品数が少なくデザインテイストも違うが、無印良品あたりは競合になりそうだ。無印良品もそう安くはないのだが、今までデザインがよくて低価格というモノがなかったからMUJIに流れていたと考えれば、シェアがIKEAに流れてもおかしくない。このほかにはフランフランや通信販売のディノスあたりもシェアが食われていくと思う。このように見ても国内のインテリア業界では単一ブランドで低価格インテリア用品を扱う企業は少ない。そうした状況もあり今回のIKEA上陸はインテリア好きの注目の的となっている。

                   先日IKEA日本上陸の話をCAの友達に話したら早速シンガポール店でたくさん買い込んできた。土産にカタログをもらってきてくれたのだが日本で待ちわびてる私からすればかなり悔しい(笑)参考までにそのタログからコーヒーテーブルを見てみよう。

                   1シンガポールドルは約70円 左上の黒いテーブルで約5460円 その下の格好良さげな黒いテーブルで約10360円
                   この価格はドンキホーテやニトリの安物のレベルだが、デザイン性と質は比較にならない。



                  日本は、「自分のことは自分で」より「時は金なり」が優先されてる文化だと思う。
                  ある意味、ヨーロッパより効率を重視していると言えよう・・・


                   上記の意見は顧客側から見た効率重視という意見。
                  これを企業側から見れば、低価格とするためにサービスは必要最低限にする効率重視。自分で商品のパーツを集めて行くようなシステムも企業の論理に乗っとっている。
                   ともに効率重視にはかわりないが、サービスにはそれなりのコストがかかり、それはそのまま商品の価格に反映する。現代経営の根幹である顧客至上主義の顧客意識を「効率的な買い物」におく日本人と、「多少効率は悪くても低価格」におく欧米人と見れば、その文化の違いが見えて面白い。ガソリンスタンドのセルフサービスがあまり普及しなかったのは、セルフにしても価格があまり変わらなかったのもあるが、サービスに対してお金を払うという意識が少ない日本文化と、サービスに対してチップを払ってきた欧米文化との差が大きく出ていた。物質的なモノに対してはお金を出しても、物質的に見えないもの(サービス、デザイン、設計)に対してはお金を出さない日本の感覚は、我々、建築やインテリアデザインをするものにとって大きな壁となって立ちはだかっている。

                   私個人の意見とすれば、「多少効率は悪くても低価格」という意識を日本にももっと持ち込んで欲しいと思う。ここでの意見は企業の論理ではなく、ものづくりをする立場の論理という点だけ断っておく。何でもいいから安いモノが手に入ればいいと考える人よりも、時間と手間暇をかけて手に入れ、自分で組み立てることにより愛着が生まれるような考え方の方がモノに興味がある人にはしっくりくる。自分でつくった服や家具はどんなによくできた既製品よりもカワイイものだ。企業の論理で日本のマーケットを考えると、ある程度のわかりやすさとサービスが必要になってくるのだろう。今回の日本上陸でその点をどう考えているのかは興味深い。

                   インテリアや家具に興味のある若い世代が増えてきている今、IKEAにとっても日本上陸はチャンスだ。インテリアの文化は適当に家具やアクセサリーを買って配置して終わりではない。それらをコーディネートし、使いこなし、自分に合った空間に仕立て上げてこそ成熟した文化となる。それはファッションとしての衣服と同じだ。インテリアは家具やアクセサリーだけではなく、建物の内装ももちろん含まれる。そうなれば賃貸物件の内装変更も了解されるようになってくるだろう。空間としてのインテリアという意識は確実に衣服とも連続してくる。衣服がファッションとほぼ同義に使われているのと同じで、日本におけるインテリアもファッションとなっている。衣食住のファッション化。その底辺を作るインテリア界の真打ちがIKEAになり、日本のインテリア業界に新たな風を吹き込んでくれるものと期待している。

                   どちらにせよ、ザウス跡地に来年春できる船橋店オープンが待ち遠しい。



                  DESIGN | permalink | comments(9) | trackbacks(2) | -

                  ジョルジオ・アルマーニ展 part2 −【視野】と【視点】の取り方

                  0
                     アルマーニはそんなに好きなデザイナーというわけでもないが、医学部に通いながらファションに関わっていた、いわば門外漢デザイナーとして興味がある。

                     例えば手塚治虫も医学部卒の漫画家、ジャン・フランコ・フェレ、パコ・ラバンヌは建築学科出のファッションデザイナーと、別分野から転身してきた人の仕事はファッションや建築、デザインにかかわらず視点が面白い。同じ世界にいると、【視野】を広く持っているようでも【視点】がその世界に染まってしまっていることが多い。
                    続きを読む >>
                    DESIGN | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | -

                    ジョルジオ・アルマーニ展 六本木ヒルズ 森美術館 part1

                    0
                       今回見たかった「ジョルジオ・アルマーニ」展のほかには、「秘すれば花」展と「ストーリーテラーズ」展の2つが同時開催されていた。各展覧会ともなかなかのボリュームで、展望台と合わせると3時間以上見て回っていたことになる。52Fの森美術館だけでも2000もありとてもビルのワンフロアとは思えない。あらためてビルのスケールを脱したこのタワーの大きさに驚く。

                       展望台にはホンダの開発した二足歩行ロボット:ASIMOが展示されていた。実物は始めて見たのだが、その動きの早さとスムーズさに、ロボットが地球を支配するSF映画のシーンを想像し恐怖を覚えた。1980年代に開発を始めた当初は1歩踏み出すのに5秒掛かったというのだが、20年分の研究成果を一気に見せられると驚いてしまう。

                      それぞれの展覧会の概要を紹介する。
                      続きを読む >>
                      DESIGN | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | -